2007年 8月の釣行







夕マズメ  釜石港にて




釣りは決して孤独なものではない。
例え一人で釣りに出かけて行ったとしても、釣り場には誰かしら居るものであり
(無論、全く知らない人だけど)、たまたま話し好きなおっちゃんに捕まると、有益な情報を得られると共に、
全く釣りにならず、閉口するという事さえある。
釣りシーズン真っ只中の釜石港は、特にこの兆候が顕著であり、特に、スルメイカのハイシーズンである
現在は、特に夕方から、近隣のおとーさん達がワンサとやってきて、そこかしこで竿を出している。
いやあ、ゆんべはああだった、こうだったと、話し振りからするとどうやら毎晩釣りに来ているらしく、
一昨日はひとりで80パイあげた人が居たとか、それに比べて今夜は潮の具合が今ひとつだとか、
なにやら不吉な話題も飛び出して来て、ひょっとすると今夜はやべーかも知んねぇと、
些か気を引き締めたワタシであった

さて、ワタシはこの日、昼間からノコノコやって来て、曇り空の下、ぽつねんと竿を出していたが、
サバ狙いのウキ仕掛けには全くアタリは見られず、 「ウーン、今日も反応がニブイのぉ〜」
などとボヤイていた。
聞けば昨年、釜石湾の沖に新しい防波堤が完成したが、それ以来回遊魚の魚影が少なくなったという。
それでも稀に群れは入ってくるのだが、以前のような大きな"ナブラ"が立つような群れは、皆無だという。
"ナブラ"というのは、回遊魚の大きな群れが、小魚の群れを追い回し、海面に湧き立つ水飛沫のことで、
ワタシも一昨年目撃したが、それはそれは物凄い景観であったと記憶している。
加えて、この猛暑による海水温の高さ。現在は8月も下旬になって外気温の方は落ち着きつつあるが、
海水温の方は1ヶ月遅れと言うのが定説であって、幸い三陸沿岸は免れているが、もっと南方の沖に出ると、
海水温25度以上の高温水域が広く張り出し、しかも9月までにどんどん北上しつつあるという。
この海水温と魚の回遊には密接な関係があるらしく、また、魚の生育具合や潮の状況によって、各地防波堤や、
沖での釣果に変化をきたすので、なかなか期待通りの釣果、という訳にはいかないようなのである。

波間に漂うウキを、ただ眺めているのも流石に飽きてきたので、サバ用の仕掛けを足下に落とし、
別にルアーロッドを取り出して、2号の化け鈎をセットし、海面に見え隠れする小魚の群れを誘う。
上からだと何の魚か判らなかったが、1匹釣り上げてみるとアジであった。
コマセを撒いてアジを寄せる。だがアジという魚、口切れがしやすく、つまりは非常にバラシやすい魚で、
ブラックバス用の硬い竿だと釣ったそばから逃げていってしまう。
そこでイカ用に用意してきた、6.6フィートのウルトラライトのトラウトロッドに仕掛けを付け替えると、
今度は面白いように魚が釣れ始めた。結局30分程でアジ9匹、大き目のタナゴが1匹釣れた。






エアーポンプでエアーを流し、活かしておく



それからまた暫らくサバ釣りに精を出したが、こちらはやはり、ウンともスンともいわない。
「う〜ん。・・・・・・・す〜ん。」 とひとり、涙をコラえ、唸ってみてもやっぱり無駄である。
夕方まで粘ったところで泣く泣くサバを諦め、納竿。速攻で夜釣りの準備に入った。
そうなのだ。あくまでも今日のネライはスルメイカなのダ。気持ちを切り替え、イカの仕掛け作りに入る。





さっき釣ったアジを使って、イカの仕掛けを作った


さて、前述の通り、夕方からは近隣のおとーさんたちがドヤドヤとやってきた。
東西に広がる、T字防波堤の釣り座がどんどん埋まっていく。

「いや〜一昨日は明るいうちから群れが入ってきてナ、バンバン釣れだっけが、
 昨日ハァ、さっぱりワネがったナ〜」

「ま、まじっすか、ソレ・・・・」

「どうも潮の具合がナ。それに今日はベタナギだべしよォ。こーゆー時は、わがんねぇどぅ」
この日はたしか翌日から大潮だったはずである。その夜は6年ぶりだかの皆既月食だとか言うが、
それも何か関係あるのだろうか?

一斉にイカ釣りが始まって、日が暮れて暫らく、誰の竿にもイカの釣れた気配は無し。

「いつもならこの時間にゃあ、釣れてる頃なんだけどなぁ〜。こんなに釣れないのも珍しいなぁ」

「今日は駄目なんでねぇのが?」

あーッ!こちとら一ヶ月ぶりに釣りに来たってのに、そりゃないでしょーッ
落胆を隠せぬまま、仕掛けに誘いを入れること暫し、午後7時を過ぎて、隣に釣り座を構えていてた
近所に住んでるらしい、おばちゃんの竿に、第1号のイカがヒットした!

「ああっ、釣れた釣れた! ねぇ、お兄ちゃん、釣れたヨォ!」

あー、うるさいッ!やかましいッ! だまって釣りなさいッ!
だがこの1パイを皮切りに、あちこちの釣り座でイカが掛かりはじめたらしい。
あっちこっちで、イカが噴出す クエッ クエッ という音が聞こえる。だがしかし、長続きしないようだ。
ワタシの竿には、依然として全くアタリなし。
うーん、仕掛けが悪いのかナ?と思い、仕掛けをチェックしてみる。 うーん。良くわからん。
イカはエサになる魚のアタマを狙って食いついて来るから、イカ鈎との位置関係が重要であろう。
ちょっと仕掛け作り直してみるかなーと、悪戦苦闘すること5時間。
既に近所のおとーさんたちは帰宅の途につき、堤防には数えるほどの人しか残らなくなった。

午前零時を回って暫らく、漸くワタシの竿にイカがヒットした。
どうも誘いを入れてる竿が硬すぎて、誘いが不自然なのではないかと思い、
竿を柔らかいものに替えた直後の出来事であった。

午前1時を回り、とうとう防波堤にワタシひとりになった後、2ハイ目が漸くヒット。
しかし、その直後に降り始めた雨が、いよいよ本降りとなってしまい、体力も限界、ということで、
一瞬、このまま車中泊して翌朝も、とも考えたが、お昼からもう14時間もぶっ続けで釣りをしていたので、
腹も減ったし、ここらでお開きにすることにした。






釣り上げたスルメイカ。最大で胴長18センチ


今回釣り上げたイカは、どっちも小さいものばかり。まことに悔しい限りだが、この悔しさが、
次の釣行につながっていくのだ。
ウヌレ。 ワタシは近いうちにまた海に出る。釣りの本当の季節は、まだまだこれからだからである。






この後、このイカは、ワタシが作ったタラコスパゲティの具になった





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