複製作業の実際






さて、モノつくりの製作環境が整ったところで、ワタシはいよいよ製作に取り掛かるのである。
コレまで作ってきたアレもコレも、実は、総てはこれからの作業のためのプロローグに過ぎなかったのだ。
さあて!作るぞぉ〜。 ・・・・って何をって? 

何はともあれ、私は驚いているのである。
先日盛岡の仕事の帰途、運動公園近くの「にしな」に立ち寄ったのだ。
結局眺めるだけで帰ってきてしまったのだが、そこで少年時代に作ったプラモを発見したのである。
そのプラモ、発売当時は700円くらいだったのだが、なんと現在、2600円の値段になって
再販されていたのだ。
に、にせんろっぴゃくえん!?
一瞬"誰が買うんだろう?"と思ったが、こーゆーモノは趣向品ゆえ、たとえ高くとも、
欲しい人は買うんだろうなー、というのが正直な感想・・・・・・。

思えば、プラモも高くなったもんだ。(最近の原油高とは関係ナシに)
昔はプラモといえば、とりあえず千円以下、とゆーのが当たり前だったが、
いまやちょっとしたモデルでさえ、2千、3千円は当たり前の時代に突入してしまった。
このご時世でさえ、未だにプラモ=子供の遊びと考えている御仁もいるらしいが、とんでもないハナシである。
いまの子供はプラモなんざ作らないらしいし、大体、高すぎて買えやしないであろう。
買い集め、作っているのはもっぱらイイ歳した大人達。
つまり、ワタシのようなオッサン世代が最大の購買層なのだとか。
まあ、年々各メーカーのクオリティーも上がり、昔に比べたら格段の精密さを誇る模型業界に在っては、
値段の上昇も止むを得ぬ事なのかも知れない。

ワタシ的には、まだ比較的値段の安かった15年以上前に買い集めたストックがいくつかあって、
もっぱらその製作に専念しているわけだけれど(ここ数年模型店に行っても塗料や溶剤等しか買ってない)、
ただ組み立てるだけでは面白くないので、自分なりの改造というか、
"ワンオフのモノ作り" とゆーやつを、実は密かに楽しんでいる。
"ワンオフ"とは、"ひとつだけの製作物"とか、"この世にひとつだけのもの"くらいの意味で
日常使われているコトバなのだが、クルマの模型を例に取るなら、
例えばエンジンのないモデルにエンジンを載せてみたり、開かないドアやボンネットを開くようにしてみたり、
ある模型を改造して、模型として発売されてないクルマを作ったり、つまりはその模型の持っている
ポテンシャルを最大限に利用して、骨の髄までしゃぶり尽くしてしまおう、ってなわけなのである。

前置きが長すぎた。

例えば一つのクルマのお気に入りのキットがあったとしたら、そのバリエーションを沢山作って楽しみたい。
だがその為にいくつも同じキットを買うのはフトコロ的に厳しいので、個人として楽しむために(ここ重要)
そのキットのパーツを複製する必要がある。
今回はそのひとつの前段階として、ドイツのフォルクス・ヴァーゲン社の伝統的な空冷エンジン、
FLAT4の模型(1/24)のパーツ複製を試みる。
んでもって、いずれエンジンの付いてないキットに組み込んで、フルディティールモデルを目指すのである。



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まずは型枠を用意する。2ミリ厚のアクリル板を切り出した。




次にシリコンを流すための土台を用意。油粘土をコネて、テキ
トウな大きさに千切って置いてみる。まぁこれ位かな?
空き缶を使って伸してみる。均一な厚さに伸すのがキモだが、
まーこんなもんでいいでしょう。複製するモノにもよるが・・・。
型枠の底板に合わせて粘土をトリミングする。カッターで切り
取るだけだが、粘土の厚みも改めて確認しておく。
で、型枠のサイドを立ち上げるとこのようになる。壁に接する
部分をヘラで均し、密着させておく。
プラモのランナーで、湯道を配し、複製するパーツを並べてみ
る。これは"アンダーゲート方式"と呼ばれる配置の仕方。
パーティングラインを粘土を加工して作り、ダボ穴を作っておく。
これがこの状態のまま、型の合わせ面になるのだ。
そりでは型作りを開始しよう。材料は型取り用シリコン(正確
にはシリコーンね)と秤。秤は0.1gまで量れるやつがイイ。
久々に入手したシリコン。旭化成の”ワッカーシリコーン”とゆ
うやつで、値段のいちばん安いモノ。ビンは硬化剤である。
缶の中身はこうなっている。シリコンはドロドロの液体で、種類
によって粘度、硬化時の収縮率、引っぱり強度等が異なるのだ。
シリコンに硬化剤を入れ攪拌、型枠に静かに流し込んで、待つ
こと6時間余り。片面のシリコン型が硬化した。
早速ひっくり返して粘土をめくってみる。この時パーツが粘土
に引っ付いてこないよう、慎重に作業する必要がある。
粘土を取り去って表面をクリーニング。パーツ上にはみ出した
シリコンは削り取り、もう一方の型取りの準備をする。
”湯溜まり”と呼ばれる部分を粘土で整形し、シリコン同士の
合わせ面になる部分に離型剤を塗る。
離型剤が乾いたところで、もう片面のシリコンを流し、硬化が
完了したところ。型の合わせ目にナイフで切れ目を入れる。
ペリペリと型を剥がしていく。離型剤を塗っても、所々くっつい
ているところがあるので、型を壊さないように慎重に作業。
型が剥がれたら埋め込んであるパーツをピンセットで救出。同
時にシリコンがしっかり流れているか確認しておく。
こういう壊れやすいパーツの扱いは特に注意する。型さえあれ
ばいくらでも複製できるとはいえ、オリジナルパーツは貴重。
さて、型取りは完了したが、まだ複製作業には入れない。複製
用の樹脂が流れる通路、”湯道”を形成する必要があるからだ。
アンダーゲートからパーツへつながる湯道をナイフで切り出し、
形成していく。樹脂に押し出されたエアーの抜けを考慮しつつ・・・。
型が出来上がったら早速キャスティング・テストを行ってみよう。
アクリル板でサンドイッチして、テープでガッチリ固定したが・・・。
オヨヨ!?型の合わせ面下部から、デロデロと樹脂が漏れ出
しているではないか!大慌ててクランプするも、時既に遅し。
ホレ、このまんま固まっちまったい。ちっくしょーめ。で、カンジ
ンのその中身がどうなっちまったかってェと・・・・・・
ホレ〜、ぜんぜん樹脂が回ってないじゃ〜ん。ウーム、型の
合わせ面の精度が今ヒトツだったかな? とりあえず・・・・
取り出してみたのがコレ。こんなん使われヘンやんか〜。 ま、
気を取り直して湯流れをチェック、型に修正を施した。
コチラはエンジンブロックなどのパーツのシリコン型。何度か
テストしたが、まだ樹脂が回ってないところがあるようだ。
先程の型を再びキャスティングしてみる。まだエアーの抜け切
れてないところがあるので、改修してテストする予定。







今回の注型作業には、ポリウレタン樹脂を使用したが、
例えばこのシリコン型に溶かしたチョコレートを流し込めば、チョコレートで出来たエンジンや、
クルマの模型が出来上がる理屈である。
実際はモチロン、食品衛生上、ちょっとギモンなのでやりはしないが
(ケーキの上などにのっているチョコは、やはり食品用に作られたシリコン型で注型しているらしい)、
自分で作ったオリジナルの造形物や、お気に入りの立体物が、どんどん複製できるのは楽しい作業である。
次回はちょっとした大物に初挑戦して、更に複製の間口を広げてみたいと考えている。



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